桝田省治死す。

体験版を遊んでみよう!!

 日本一ソフトウェアに広報スケジュールを確認したところ、このコラムが掲載される頃には『勇者死す。』(2月25日発売)の体験版配信が報じられているとのことなので、今回は体験版の遊び方やちょっとしたアドバイスを書いておく。
 ところで、今後さまざまなゲーム情報メディアで体験版をプレイした感想が掲載されると思う。その際は各ライターが体験版の何に注目したか本コラムの内容と比べてみよう。もしも同じような内容だったなら、そのライターはメーカーの広報資料をコピペしただけで、実際にはプレイしていない可能性を疑ったほうがいい……とか、釘を刺しておけばさすがにいい加減な記事は書けないだろ。
 えっ、僕は性格が悪いって? いやいや、ここだけの話、誠実で健全で人柄のいいゲームデザイナーなんて今までひとりも会ったことがないね(笑)。

◆1周目を丸ごと収録

 まず体験版の内容から簡単に紹介する。『勇者死す。』は魔王を打倒後、いまだ混迷が続く世界を余命5日の勇者が旅をするRPGだ。この5日間を幾度もやり直し何周もすることで多くの人に出会い山積みの問題を少しずつ解決に導いてゆく。
 体験版ではオープニングから勇者の葬儀まで最初の1周を丸ごとプレイできる。クリアーまで実時間で4~5時間のボリュームだ。

◆行動で変わる葬儀

 次はお薦めの遊び方だ。先に書いた通り1回のクリアーに4~5時間。これだけでも体験版としてはかなりの大盤振る舞いだ。だが、『勇者死す。』は勇者であるあなたが5日の間に取った行動によって最後の葬儀の中身が変化する。参列者の顔ぶれ、その弔辞の内容、そしてあなたが死んだのちの未来までもが大きく変わる。
 とにかく初プレイはなるべく事前情報なしで遊んでほしい。おそらく独特のルールやテンポをなんとなくつかんだころには5日が過ぎてしまう。気づいたときにはいろんな事案がすでに手遅れでたいした成果も残せていない。最初の葬儀の主な弔問客は4人か5人、一般の参列者も100人に満たない。とても悔しい思いをするはめになる。けれど、この惨めな葬儀を終えた瞬間こそが『勇者死す。』というゲームの真のスタートと心得てほしい。
 体験版は最初の1周目しかプレイできない。しかし、1周目を何度でもプレイできる。試行錯誤を繰り返せば1000人近い民衆が参列する立派な国葬で生涯を終えることもできる。貴重な5日間をひとりの女性に捧げるのもあなたの自由。釣り三昧で過ごすのも一興だろう。とにかくいろいろ試して葬儀の変化を楽しんでもらいたい。10時間超はゆうに遊べるから、ちょっとしたゲームをクリアーした満足感を得られるはずだ。
 ただし、体験版をいくらやりこんだところで『勇者死す。』の1周目は小手調べにすぎない。「誰を殺せば勇者になれるのですか?」と危ない質問を投げかける勇者候補のヨナ。謎だらけの魔王の娘ベラナベル。それに藤田咲さんが演じた、いまだ名前も姿も明かされていない“10人目のヒロイン”。役者が出揃うのは2周目以降。シナリオもシステムもトップギアに入る。ここから先が本番だ。

●体験版も葬儀のリプレイ機能が使える!

◆体験版で覚えよう

 続いてアドバイスを少し。体験版で『勇者死す。』独特の感覚に慣れておけば、製品版のプレイ時に溜息や舌打ちの回数が激減することを請け合う。
 まず、一定時間おきに起きる画面の赤い点滅と不快な音に慣れて冷静でいられるように心がけよう。このタイミングで最強だった勇者の全パラメーターは低下している。中でも必ず覚えておくべきは以下のふたつだ。
 1.月火水木金、5日間の各曜日の終わりに勇者の最大HPがいくつになっているか、おおよその値を記憶する。2.瞬間転移魔法“デモルド”と最強攻撃魔法“ダイヴォーラ”の呪文を忘れるタイミングを把握する。どちらもランダム要素が入るので一定ではないが、何度かプレイするうちに傾向はつかめるはずだ。
 次に“素早さ”というパラメーターの重要性を戦闘中に体感すること。体験版をプレイすればわかるが、第一日目の戦闘はほぼずっと勇者のターンだ。勇者の圧倒的な素早さのおかげで攻撃する間を敵に与えない。逆に最終日はなかなか勇者の順番が来ない。重装備のままでは素早さが落ちる。装備交換のタイミングを研究しておこう。

●日数の経過で、勇者は呪文を忘れてしまう。