htoL#NiQ -ホタルノニッキ-

プロローグNEW

Chapter#1NEW

◆9999年12月31日 鉄くずの雨

暗い廃墟の底の底
いまにもつぶれそうな小屋の中

ミオンは目を覚ました

ここがどこで
なぜ自分がこんなところにいるのか
何もわからず、とまどい震えている

わたしの姿を見つけると
何か懐かしいものを感じ取ったのか
安心したようについてくる

ここから連れ出してあげよう

小屋の外は無慈悲な世界で
ミオンはすぐに瓦礫の影に押しつぶされてしまうだろう

だけどわたしならその影を祓える
ミオンを上へ 上へ 導いていく

わたしにはこの子を連れていく理由があるから・・・

Chapter#2NEW

◆9999年12月31日 陰影の霧

暗い廃墟の底の底
今にも崩れそうなトンネルの中

ミオンが巨大な影の獣に襲われた

暗いトンネルを恐る恐る進んでいると
とつぜん轟音とともに背後から現れたのだ

実体はなく影だけしか見えないそいつ
瓦礫の障害物を体当たりで吹き飛ばしながら迫ってくる

追いつかれればミオンが無事ではすまないだろう・・・

ここでミオンを死なせるわけにはいかない
なんとか足止めしてミオンを逃がさなければ・・・

幸いここは崩れかけたトンネルの中
利用できるものは多そうだ

わたしは今にも壊れそうになっている天井に目をつけた
あれを崩せれば、ミオンを逃がす時間を稼げるかもしれない・・・

Chapter#3NEW

◆9999年12月31日 深緑の霹靂

暗い廃墟の道半ば
どこまでも続きそうな長い通風管を抜けて

ミオンは深い緑に囲まれた

この世界は壊れてしまって
もう瓦礫や鉄くずしか残っていないと思っていた

だけどここにはたくさんの木々が生い茂っている

ミオンを瓦礫の山の底から連れ出してから
初めて見る緑豊かな植物

でも安心できない
木々の形はどこか歪で、普通じゃない

見覚えがある・・・ぼんやりとした記憶の沼がまたゆらめく
普通じゃないことがここで行われていたような・・・
わたしやわたしに近しい人がそれに関わっていた気がする

そんなことを考えながら森の中を進んでいると
樹の枝の間から何かがぶらさがっているのを見付けた

ミオンも同じものを見付けたのだが、
恐怖で怯えてその場にうずくまってしまった

ぶらさがっているのは何かの死体のようだ・・・
でも誰かに似ている・・・
あれは・・・ミオン・・・?