『ひぐらしのなく頃に』などでおなじみの竜騎士07氏の作品だけあって、ホラーアドベンチャーの中でもグロテスクな描写が執拗で濃密。そこが本作の魅力でもあるのだが、やはり遊ぶ人を選ぶかな。
その点が問題ない人であれば、現実と白昼夢が交錯しながら展開していく、“呪い”や“祟り”をテーマにした不思議な物語に惹き込まれるはず。
PC版にはなかった新シナリオ“結姫編”が追加されているのもいいね。乱舞吉田8点選択肢のない、ひたすら読み続ける作りだが、日常パートと不可思議なホラーパートが織り交ぜられる構成や、序盤での伏線が中盤から回収される展開に夢中になれます。
ヒロインはみんなかわいくて、ハーレム感も○。怖さの成分は思ったほど強くなく、グロテスクなテキスト描写のほうが目立つ印象。“結姫編”で雛形先生の物語が見られるのはうれしく、ウルッとしてしまうシーンもあり、読後感もいい。ジゴロ☆芦田8点不気味な霊障や人間の陰惨な悪行など、目をそむけたくなる描写の連続で、遊び手を選びそうですが、主人公たちといっしょに立ち向かう勇気が奮い起こされます。美少女ゲーム的な構成ながら、白馬の王子さま、千年ロマンス、怖い話といった女性が好む要素も多く盛り込まれ、物語の虜に。
インタラクティブ性こそ低めながら、ゲームというメディアでの表現に適した作品性です。ボリュームにも満足。くしだナム子8点日常でふと湧き上がるドス黒い感情を、生理的嫌悪または性的倒錯ムードたっぷりに描写する作風になじめれば、一気に引き込まれます。
プレイヤーが展開に干渉できる要素はほぼなく、ビジュアルノベルとしての演出面もオーソドックスではありますが、“伝奇ホラータッチの恋愛もの”としての読み応えは十分です。
左右スティックを使ってのショートカット機能をカスタマイズできる点は便利ですね。戸塚伎一7点