【うるいさんの投稿】

怖い話、と言うほどではありませんが、私が高校のときに体験した少し変わった話です。

私の通っていた高校は海と山に囲まれており、学校の後ろには5分でいける山が、学校から駅側に行くと歩いて20分ほどで海にいける。遊びたい盛りの高校生には良い立地の場所でした。

当時、夏になると私と私の彼氏は、仲のいい友人たちと一緒に、学校の帰りに、しばしば海によってだらだら遊んでから帰る、ということをよくしていました。

特に、川と海がぶつかるところ、河口って言うんですかね?

そこは海水よりも水温が低く、淡水が混じっていたので足を入れてもあまりべたべたしないので、海に入るよりもそちらでよく遊んでいました。

そんなある日の夕暮れ、いつものように皆で河口で遊ぼうとしていると、川上から不思議な感じの葉っぱが流れてきたんです。
何だよ、葉っぱかよって思うかもしれないんですが、その葉っぱが本当に変わっていたんです。

まず、その川は結構流れが複雑だったみたいで、いつもなら葉っぱがクルクル回りながら流れてくるんですが、その葉っぱはスッとまっすぐ流れるように川を下っていたんです。それもゆったりと。
しかも、葉っぱには爪楊枝みたいなものが刺さっていたのに、です。

私は『なんだろうな』って思ってその葉っぱをまじまじ見てみました。
良く見ると葉は『笹船』見たいな形をしていて、爪楊枝みたいなものは良く見ると『菩薩』見たいなものに見えました。例えるなら牛久大仏様みたいなやつです。

それで、なんとなく『いやだな』って思って、周りの皆に伝えたんです。『なんかあの葉っぱ気味悪くないか』って。
友達の仲には霊感の強いAと言う女の子がいて、特にその子に見てほしくて、Aには念を入れて伝えました。

皆が、なんだなんだと葉っぱを見始める中、Aがじっと葉っぱを見つめていました。
すると、おもむろにAが葉っぱに向かって石を投げ始めました。

1投、2投どんどん石を投げます。
私は、なぜか本能的に『まずい、とめなきゃ』と思い、石を投げさせるのをとめました。
周りの子達も、私の様子が変だったのを察したのか、一緒にとめてくれ、葉っぱは沈むことなく私たちの前を流れていきました。

周りが暗くなりはじめていたこともあり、怖くなった私は『もう帰ろう』と皆をけしかけて家に帰りました。
帰る途中、Aに『なぜ石を投げたのか』聞いてみましたが、『なんとなく』と言う言葉しかかえって来ませんでした。
そのうちに、Aのうちの最寄り駅について、その日は解散しました。

後から聞いた話ですが、私と別れた後、すぐにAのお守りの数珠が壊れてしまったようです。
Aは見えすぎてしまうたちだったらしく、見えすぎないように、いつもおじいさんから貰った数珠をつけていました。
それが前触れもなく、ぶつっとちぎれたらしく、『私なんかしちゃったのかな』そういっていました。

私の不思議な体験はこれで終わりです。
今でも、あの夕暮れのなか、流れてきた『アレ』はなんだったんだろうか、と考えてしまいます。