これは、あまたの魔王がしのぎをけずる多元宇宙を舞台にした物語。 宇宙最強と名高い“魔王ゼタ”は、とある人物から魔界崩壊の予言を受けた。 魔王ゼタは、魔界崩壊を防ぐため、 魔界のすべてが記されているという一冊の本―『全知全能の書』を手に入れる。
しかしゼタが『全知全能の書』を開いてみると、 ページにつづられた予想外の言葉が目に飛び込んできた。 『アホ魔王ゼタ、そのバカさ加減ゆえに魔界を消滅させる。』 その文章に、ゼタは怒り、全知全能の書を焼き払おうとするのだが― 本が燃えるのに伴って、ゼタの支配する魔界とゼタの身体が崩壊を始めた。 全知全能の書は、魔界のすべてが記された本。 書き込めば願いを具現化する不思議なアイテム。 それは、害すればその被害が世界におよぶ『世界』そのものだったのだ。
自ら魔界と自身の崩壊を招いたゼタは、最後の力を振り絞り、 自分の魂を『全知全能の書』にコンファイン(憑依)した。 こうして、予言の通りに、ゼタの魔界は崩壊した。 あとに残ったのは、荒涼と広がる宇宙空間と、一冊の本。 『全知全能の書』となったゼタは、 すべてを失い、まさに手も足も出ない状態となった。 彼はこれから、知人・隣人・宿敵・変人…… さまざまな魔王たちの力を借りて魔界と身体の再生を目指すことになる。