あらすじ
「・・・ゆるキャラを作ろう」 部長の神無が提案した。 如月優也は地元の学校に通う高校生。 優也が副部長を務める郷土歴史研究会は文化祭で何か成果を出さないと部室を取り上げると、生徒会から宣告されてしまった。 そこで、ゆるキャラを作り、文化祭が始まる前に宣伝すれば、他の出し物より目立つことができ、人気もでるはずと意気込む部員たち。
あらすじ
プロローグ
最初はトマトジュースを派手にこぼしたんだと思った。 他の可能性なんて考えられないし、絵の具は置いていない。 だけど、鉄の臭いが違和感としてあった。 トマトとは似ても似つかない生臭さが充満し、 思わず鼻を摘んでしまった。 そして、視線は控室の奥へと向けられた。 如月優也「・・・そんな・・・何故・・・」 日常から逸脱したものはそうと認識できない。 たとえ最悪の事態を想定していたとしても、 俺たちには経験が足りない。 人の生き死になんて物語の中でしか見ていないんだから。
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そこにはあった。 血溜まりの中で沈み、物言わぬ亡骸と化した人間が。 服は真っ赤に染まって、まるで最初からその色だったようで。 どうしてか分からないけど、身体が定期的にびくんびくんと跳ねたりしてて。 そして、そして―― その傍らには、包丁を持った着ぐるみが、首をゆらゆらと揺らせて佇んでいて。 何もかも現実味がない。
大勢が行き来していたのにとか、 どうして誰も気づかなかったのかとか、 そんなことは考えられなくて。 着ぐるみの中に誰が入っているとか考える間もなく。 ただ喉が乾いて、何も言葉が出てこなくて、息が荒くなるばかりで。 そして――