APR_IL_FOOL_GAME
~Part①『圧殺牢獄』~
指定のビルのガラス戸を開き、中へ入ると、勢いよくシャッターが閉じた。
コンクリートで囲まれた無機質な空間。
今入ってきた入り口以外に扉はなく、家具も一切ない。
唯一、奥の壁にカーナビのような小型ディスプレイが埋め込まれていて、近寄ると奇妙な映像が流れ始めた。
「ルール? 回答期限、って……」
映像が途切れると同時に、ゴリゴリと耳障りな音を立てながら、ゆっくりと床がせり上がり始める。
そこでようやく、自分の置かれた状況に合点がいった。
まさか、このまま謎を解けなければ、ジワジワと壁に圧し潰されるということか……?
かつて通り魔に左目をえぐられた時のように、鼓動が速まっていく。
久しぶりに、迫りくる死の気配というものを肌に感じた。
残念ながら、俺の推理力で解くのは難しいかもしれない。
このままだと俺は死ぬ。
八ツ裂き公の指示に沿うのは腹立たしいけど、ネット上のみんなの力を借りるしかない。
絶対に、窓際探偵さんを救い出すんだ!
■■■■ 広報探偵
回答期限:AM10時
被験対象:広報探偵
ルール:期限までに壁の暗号を解読できなければ、迫り上がる床と天井に挟まれて死亡