第一回【主人公創造の巻】
企画を立ち上げるとき、ゲームデザイナーの小林から聞いた主人公像はこんなだった。
“主人公は宇宙最強の魔王だ!”
ゲームスタート時で、すでに主人公は最強。なかなか無い設定でインパクトもある。
“その魔王が『全知全能の書』と呼ばれる魔界の全てを司る本になってしまうんだ!”
え? ちょっと待て。
本・・・? 主人公が本・・・。
どんなビジュアルになるんや・・・?
───数日後───
キャラクターデザインの原田氏からあがってきた主人公・魔王ゼタのイメージがコレ。
デザイン課長の池田いわく、「最終稿です」とのこと。
こんな主人公、愛せねぇ・・・。
ゲームを制作していく上でキャラクターへの愛情は大切だ。最初は好みじゃなくっても、セリフを考えたりしているうちに徐々に好きになっていき、どんどん活躍させたくなってくるもの。特に主人公は最初から最後までプレイヤーが操作し、付き合っていくやつだ。作り手側が主人公を愛していないと、とんでもない冷遇を受けることなる。
彼を救出しなくては!!
このとき多くのスタッフの気持ちが一つになったという。
で、原田氏に頼んで描き直してもらったのがコレ。
ほっ。これなら何とか愛せるかも。
そこには、すでに主人公が本であること自体には何の疑問も抵抗も無い自分がいた・・・。
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