“くせ者だらけのキャラ紹介”も4回目。これまでに7人の女性を紹介したが、今回は男性ばかり4人だ。4人で1ページを分け合うので、いつもよりひとり当たりの文章量は少なめ、内容もいくぶん雑、ページの見た目も華がない。我慢してもらいたい(笑)。
ところで、来年2月発売予定の“勇者死す。”に登場するキャラクターには、とても単純な役割分担がある。変化や革新を象徴するのは女性、停滞や衰退を表すのが男性だ。大局から見れば勇者すら例外ではない。
「魔王を倒せば平和になる」と信じていた勇者が、新たな問題があちこちで勃発し、いまだ混迷がつづく終戦後の世界を旅する。“勇者死す。”は、そんなRPGだ。
プレイヤーであるあなたが名前をつけて操作するキャラは勇者だ。もちろん主人公だが余命はわずか5日。エンディングは自らの葬式とゲームスタート時点から決まっている。命がけでがんばったのに期待したほど報われなかった、文字通りの悲劇のヒーローだ。
勇者と女性キャラとの違いは、勇者は5日間で死ぬが、女性たちはそのあともこの世界で生き続けること。勇者は5日間がすべてだが、女性たちはその後の人生のほうがずっと長い。勇者と過ごした時間がどれだけ濃密であろうと、前進する彼女たちにとって勇者はどんどん遠ざかる道標のようなもの。いずれは過去の記憶のひとつに変わる。
プレイヤーの分身である勇者は、ゲームの文法上あまり喋らないのが一般的だ。だが勇者の声は、代永翼くん。その甘い声を目当てに本作をプレイする女性ファンも少なくないだろう。ということで、ゲーム内の選択肢「はい、いいえ」の応答を「了解だ」「俺に任せろ」「お、おう」「残念だけど……」「ちょっと無理かも」等など、それぞれの設問に対して無駄に種類が多いリアクションを収録した。何度もプレイして、てれる、はりきる、あせる代永、いろいろ楽しんでほしい。勇者の隠れた人柄もなんとなくわかるはずだ。
勇者を育てた執事役の老人で、魔王城突入時のメンバーのひとり。戦闘では、攻撃、魔法、回復と一通りこなせるので、ゲームスタート直後に最初に加わる仲間としては重宝する。また初回のプレイで要領がつかめないうちに時間ばかりが過ぎ、めぼしい結果も残せず参列者もまばらな寂しい葬式になったとしても、この老人だけは勇者をたたえる。
トーマスは勇者のすべてを受け入れて現状を肯定する。孫を猫かわいがりする年寄りのようにひたすら優しく一緒にいれば子供には心地いい。こんな甘い態度を無責任ととらえるならトーマスはダメな大人にちがいない。
ゾロもトーマス同様、魔王城突入時のメンバーだ。個の戦闘力だけなら勇者に匹敵する。ゾロと勇者が力を合わせれば魔王を容易に倒せたかもしれない。だが現実は、勇者は単独で魔王に挑み、相打ちとなった。ようするに勇者のわがままのせいで、ゾロは手の届きかけていた地位も名誉も報酬も失った。一介の傭兵から勇者チームの一員になりあがるために流した血も汗も涙もたったひとつの選択ミスで水の泡だ。
戦争が終われば傭兵は用済みだ。ゾロほどの手だれであろうと、まともな仕事はない。表向きは魔物の残党を狩る賞金稼ぎ、裏稼業は王権の脅威となる勢力をつぶす秘密警察。これがかつて勇者と並び称された男の現在だ。ゾロは勇者を恨んでいる。まあ当然だろう。
国中に重大な問題が起きていることは重々承知である。王制に陰りが見えていることも薄々感づいてはいる。だが、溜息ばかりで積極的な判断は一切できない情けない王様がエドワードだ。ゲームシステムにもストーリーにもたいした役割はない。
ゲーム開始直後に謁見すれば、勇者の労をねぎらい大切な家宝を気前よくくださる。おそらく彼は善人でなくとも悪人ではない。ただ王の器にほど遠い凡人なのだ。
予告! 次回はVita版で新たに追加したふたりのヒロイン“次世代の勇者ヨナ”と“魔王の娘ベラナベル”を紹介する。